さきたクリニック院長 先田功が
毎月乳がん医療に関することなどの医療コラムを更新。
乳がんや乳腺疾患、近年の乳がん治療、乳がん検診の医療情報や乳癌学会の内容など、院長が執筆し「院長のひとりごと」と題しWEB配信しております。
京都大学名誉教授の本庶佑先生が2018年にノーベル医学賞を受賞しました。
本庶先生は免疫の中でブレーキの役割を果たす分子を同定発見しました。
がん細胞は巧みにこのブレーキを活性化して免疫の力を避けていることがわかりました。
そこで日本の製薬会社がこの働きをブロックする新しい薬を開発しました。それが免疫チェックポイント阻害剤です。この薬は従来の治療法では効かないような患者さんに効果を発揮しました。
いままで免疫の力を利用した様々な療法が考案されましたが、それらとは一線を画す良好な効果が得られがん治療の新しい療法としての免疫療法が確立されました。
本庶先生は若い時に大阪大学医学部でも教鞭をとっておられ、私はその時の教え子の一人でした。決して優秀な学生ではありませんでしたが、ノーベル賞受賞の時は自分のことのように大変興奮しました。
今では同じ原理で様々な免疫チェックポイント阻害剤が開発され、いろいろながんに応用されています。どんな患者さんに効くのか、どれほどの量をどれくらい投与するのが適正なのか様々な臨床試験が進行中です。
また従来の抗がん剤とは違った副作用もみられ、その対応の仕方もおおいに議論されています。
いずれにせよ多くのがん、がん患者さんにとってとても有望な治療法となるでしょう。
もちろん乳がんに関しても様々なトライアルが実施されています。
乳がん死亡をゼロにするという我々乳腺専門医の目標にまた一歩近づけると実感する今日この頃です。皆さんも大いに期待してお待ちいただけると幸いです。
著者 院長・医学博士 先田功
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