西宮市｜さきたクリニック-院長のひとりごとコラム-新型コロナワクチン2

　いよいよ日本でも新型コロナワクチンの接種が始まります。コロナ克服に向けて大いに期待したいものです。

 

今回のワクチンは従来のワクチンとは全く違うものです。今までのワクチンは生のウィルスを無毒化あるいは弱毒化して注射していました。新しいワクチンはRNAワクチンと言ってウィルスの遺伝情報であるRNAを人工的に作ったものを用います。
新型コロナウィルスの一部のたんぱく質を作るRNAを体内に入れることにより、ヒトの細胞内でそのたんぱく質が作られます。これを体は異物と認識して免疫が成立します。そうすれば本物のウィルスが侵入してきても免疫の力で打ち勝つことが可能となります。

 

このような考え方は以前からありましたが、実用化のためには様々のハードルがありました。

それが今回のパンデミックという非常事態のために、異例の速さで大規模な臨床試験が実現しました。その効果が確かめられ、副作用も許容範囲内であるとみなされました。
それでも実臨床に応用するためには厳しい審査が必要ですが、今回は緊急措置として早期の実施が認められました。すでに世界各国で投与が始まっています。
効果の検証にはまだ時間がかかるかもしれませんが、致命的な副作用はあまり出ていないようです。

 

もちろん慎重な対応は必須ですが、できるだけ早く国内にワクチンが行きわたることを願います。
これが有効となれば人類はウィルスに対する非常に強力な武器を得たことになります。
新型コロナウィルスに限らず、今後、病原性の強い新種ウィルスが出てくることが予想されます。
それに対して人類は迅速に対応をとることができるようになるでしょう。
その意味からもワクチンが有効に働き、コロナを克服できることを願ってやみません。

 

著者　院長・医学博士　先田功