乳がん検診のAI化について-院長のひとりごと

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乳がん検診のAI化

 今の世の中いろいろなものがAI化されています。医療の世界も例外ではありません。

IBMが開発したスーパーコンピューター“ワトソン”は最新の医学情報から得た膨大な量の知識をもとに、難病や治療法の難しい病気に対して適確な診断能力を有しています。

今後、加速度的に発見される新しい知見をどんどん学習しその能力は一層の発展を遂げていくことでしょう。もはや人間の能力をはるかに凌駕しているといわざるを得ません。

 

 乳がん検診のAI化乳がん検診の場面でもAI化は避けて通れません。

マンモグラフィや超音波検査画像診断においてコンピューター診断が進んでいくことでしょう。マンモグラフィではすでにCAD(computer aided diagnosis)が開発されています。今やマンモグラフィの画像情報はほぼデジタル化されています。写真の白黒の世界で、どこにどのような病変があるかを判断することは理論的にはそれほど難しいことではありません。ただマンモグラフィは立体である乳房を平面の写真に移し替えている点や正常乳腺のバリエーションが非常に多彩であるため実際の読影は非常に難しいと言わざるを得ません。コンピューターといえどもその状況は同じことで、正直今のところマンモグラフィのCADでは実用にはまだまだのレベルです。それでも囲碁や将棋でコンピューターが人に勝つ時代ですから、遠くない将来CADが人間より正しい診断をする時代が来るでしょう。

 

 乳腺超音波検査はさらに難しい現状があります。それは機械の操作を人力に頼っている点です。

つまり操作する人によって得られる画像が異なるため、客観的な診断が難しいのです。

そこで開発されたのがABUSというシステムです。これは全乳房を一定の角度で機械が自動的に操作します。その情報をコンピューターが3次元に構築して病変を見つけ出します。これもまだまだ研究段階ですが、この技術が確立されれば放射能被曝がなく痛くもない乳がん検診が実現します。

 

 世の中のAI化が進んでバラ色の未来が予想できます。

乳がん検診のAI化でもより正確な診断が可能となるでしょう。AI化が手放しで良いことばかりでないように、医療のAI化も良い側面ばかりではないでしょう。それをうまく調整するのはやはり人間の力が必要です。

特に現在のような過渡期においては適正なAI化に向けた不断の努力が必要でしょう。

 

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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