第24回日本乳癌学会学術総会(その2)-院長のひとりごと

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第24回日本乳癌学会学術総会(その2)

 “命にかかわらない乳がんをいかに見極められるか”とは非常に刺激的なセッションです。

疫学的観点から、過剰診断があるということは間違いなさそうです。

つまり見つけなくてよい乳がんがあるということです。ここでは二つの立場から論じられました。

 

第一は検診発見乳がんの中にそのようなものがあるのではないかということです。

様々な可能性は示唆されましたが、今のところこれが間違いと言い切れる証拠はありません。

今まで検診に関しては利益ばかりが強調されてきましたが、不利益もあるということ、過剰診断もその一つであることを十分説明したうえで受診していただくことが大事。

医療側もそれを十分認識して検診すべきと結論付けられました。そのためには精度管理が大事で“質の悪い検診はしないよりも悪い”ということが訴えられました。

 

第二は日常診療において、科学的(医学的)に命にかかわらない乳がんを見極めるということが話し合われました。がんの大きさ、患者さんの年齢や病理学的特徴を絞り手術をしないで厳重にフォローアップをするという選択肢が示されました。すでに甲状腺がんや前立腺がんで命にかかわりのないがんが明らかになりつつあります。乳がんでもそれを明らかにしていかなければなりません。

 

 第24回日本乳癌学会学術総会(その2)イメージイラスト最後に”日本の乳がんシーンを変革する地域連携“です。

従来の縦のつながりから横への広がりが論じられました。乳がんはほかのがんに比べて地域連携の進んでいる分野です。様々な形態が模索されています。がん専門病院が一般クリニックをけん引するタイプ、逆に専門クリニックが病院を引っ張るタイプ、専門病院と専門クリニックが強くタッグを組むタイプ、さらに複数の病院とクリニックがネットワークを作るタイプが紹介されました。

最終目標は全国レベルですべての病院とクリニックがネットワークで結ばれることです。これが乳がんに限らずすべてのがんで実現できれば理想的です。

まずは先頭を走っている乳がんで連携をさらに深く、広く進めていきたいものです。

 

 東京は4年後のオリンピックを控え活況を呈していました。

学会場もいつもながらの熱気に満ちていました。この熱気をさらに推し進めて明日からの診療に活かし、乳がん撲滅に歩を進めたいと気持ちを新たにしました。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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