先制医療-院長のひとりごと

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先制医療

 従来の医療は患者さんが病気になってから、あるいは怪我をしてから施すものでした。そうではなく症状がないときから、病気になる前から介入するのが先制医療です。2015年4月に4年に1回開催される医学会総会が関西(京都、大阪、神戸)で行われます。先制医療はその一つのテーマです。

 

 先制医療予防医療も広い意味では先制医療と言えます。がん検診は症状のないがんを早期に見つけて早期に治療することを目指します。この時人は、症状はないもののすでに癌に罹っています。しかし症状のないうちに治療をすれば成績は向上します。これを2次予防といいます。メタボ検診は糖尿病や高血圧などの病気になる前に異常を見つけて予防します。それによって将来、糖尿病や高血圧になる人を少なくすることができればその先脳卒中や心筋梗塞の発症が防げます。これは1次予防です。国は多額の予算を割いて予防医療を推進しています。日本が超高齢化することは予測ではなく事実です。新たに高齢者になる人たちが今の高齢者の率で病気になると医療費が破たんすることは火を見るよりも明らかです。予防医療が功を奏することになれば、治療成績が上がるだけでなく医療費が抑制されます。それは予防にかける予算とは桁違いです。もちろん病気になることなく人々が生活できれば、国民にとっても福音です。予防に努めることは自分たちのためでもあり、国にとってもありがたいというウィンウィンの関係にあります。

 

 真の先制医療とは病気でもなく、症状もなく、検査値に異常のない状態から施行します。先日のアンジェリーナジョリーさんがその一例です。彼女はBRCA遺伝子に異常が見つかり、将来乳がんになる確率が高いため予防的に乳腺切除手術を受けました。このように分子生物学の進歩により、遺伝子から将来かかるであろう病気が予測できる時代に突入してきました。そこで症状が出る前に病気を防ぐことができるかもしれません。これから膨大な遺伝子情報から病気のメカニズムが解明され、それを避ける手だてが開発されるかもしれません。社会が大きく変革していく中で、医療の世界も確実に新しいステージを迎えつつあるといえるでしょう。先制医療

 

 医学会総会では医学全般の進歩の状況が報告されます。一般の人向けのさまざまなイベントも企画されています。機会があれば皆さんも参加して、医療の進歩を実感していただけると幸いです。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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