妊娠中の乳がん-院長のひとりごと

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妊娠中の乳がん

 乳がんは比較的若い女性にも発症します。したがって治療と妊娠に伴う問題が発生することがあります。

 妊娠中に乳がんの診断がつくことがあります。以前はただちに出産をあきらめるというのが常識でしたが、現在は妊娠中も治療を続けながら、無事出産できることもあります。この場合妊娠の時期と乳がんの進行度によって対処の仕方が違ってきます。妊娠出産と乳がん治療の優先度をどうするかケースバイケースで考えていかなければなりません。

 

 妊娠初期の場合、妊娠の継続を検討しなければなりません。

妊娠継続の場合はまず手術を行って、妊娠中期以降に必要なら術後化学療法を施行します。

妊娠中期以降に乳がんと分かった場合は、手術や化学療法で治療を行います。出産後に、場合によっては手術、放射線療法やホルモン療法を実施します。院長のひとりごと 2015年2月号 乳がんと妊娠

 

 乳がん術後の妊娠をどう考えるかについても一定の答えはありません。

乳がん治療に伴う抗がん剤やホルモン剤、放射線治療は将来の妊娠に影響を及ぼす場合があります。将来の妊娠希望がある場合は診断のついた時点から主治医とよく相談して治療方針を決めていかなければなりません。乳がんは手術、放射線、抗がん剤、ホルモン剤さらには分子標的薬を駆使して治療をしていきます。患者さん一人一人に治療方針が違ってきます。様々な治療法の選択にあたってメリットとデメリットを考えながら方針を決めるという過程はすべての乳がん患者さんに共通です。妊娠希望がある場合は、その時にその治療法が将来の妊娠に与える影響を追加して考えていくということです。

 

 最近の生殖医療の進歩は著しく受精卵や卵子、卵巣を凍結保存することによって将来の妊娠に備えることも可能になってきました。ただし我が国では本人以外の卵を体外受精し自分の子宮に戻すことは認められていません。またこうした高度な生殖医療をできる施設はまだまだ限られています。妊娠希望が強い場合は、早い段階から生殖医療の専門医も交えて治療方針を考えていくことが必要です。

 いずれにせよ主治医とよく相談をして一番良い方法を決めていかなければなりません。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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