乳がん診療地域連携-院長のひとりごと

さきたクリニック
院長のひとりごと コラム HOME
院長のひとりごと コラム
院長のひとりごと コラム HOME

乳がん診療地域連携

 国(厚生労働省)はがん対策基本法を策定し、その大きな柱の一つとしてがん診療の均てん化ということをあげました。これはつまり日本国民がどこでがんにかかっても最良の治療が受けられることを目指すということです。そのためにまず全国にがん診療拠点病院を指定しました。そこを拠点として地元の病院あるいは診療所(以下:病医院)とがネットワークで結ばれて全国津々浦々まで良質ながん診療がいきわたるようになることが目標です。そのネットワークがつまりがん診療地域連携です。

 

 患者さんはまず地元の病医院を受診します。そこでがんと診断されると拠点病院に紹介されて適切な治療を受けます。がんは最低5年間のフォローアップが必要です。乳がんの場合は10年間経過を診なければなりません。その間ずっと拠点病院で診療を受けることは患者さんにとっても病院医師にとっても負担が大きく良いことではありません。乳がんではすでに拠点病院の乳腺外来はパンク状態です。状態が落ち着いたら地元の病医院で診療を受けたほうが患者さんにとってメリットが大きくなります。そのためには患者さんの情報を拠点病院と地元病医院で共有することが必要となります。そのシステムづくりが全国で進められています。

 

 当院のある阪神南医療圏(西宮、尼崎、芦屋)ではがん拠点病院と乳腺クリニックが協力して、早くから乳腺診療の地域連携に取り組んできました。乳腺診療パスを作成して平成20年から地域連携を開始しています。これは全国的にも早いほうでさまざまな地域のモデルケースにもなりました。大阪府ではそれを府内全域に広め Osaka Area Breast Network (OABN) を平成22年に立ち上げました。当院は西宮ではありますが、阪神甲子園球場の地元としてOsaka Area ということでこちらにも参加させていただきました。(実際当院から大阪に紹介する乳がん患者さんも結構おられます。)兵庫県や神戸地区では地域としての取り組みはありませんが、病院単位で地域連携が進められています。

 

 がん患者さんは手術や特殊検査、高度医療は拠点病院で受け、日常の診療は地元病医院を受診します。がん診療地域連携で患者さんは病院と病医院で2人の主治医をもち病院と病医院での機能的棲み分けができ患者さん、病院医師、病医院医師がすべてハッピーになります。今後もこのシステムがよりよく運用されるよう努力を積み重ねていきたいと思います。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
さきたクリニックホームページ

さきたクリニック

著者 院長・医学博士 先田功

さきたクリニック

〒662-0971
兵庫県西宮市和上町2-35 テルヴェ101

院長・医学博士 先田功