尊厳死-院長のひとりごと

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尊厳死

 尊厳死“尊厳死”とは傷病により“不治かつ末期”になったときに、自分の意志で、死にゆく過程を引き延ばすだけに過ぎない延命措置をやめてもらい、人間としての尊厳を保ちながら死を迎えることです。

 

 皆さんはどこで最期を迎えたいですか?今、日本では大部分の人が病院で最期を迎えます。一方、多くの人は病院ではなく自宅で最期を迎えたいと望んでいます。ただ身内の最期をどこで迎えたいかという質問には病院という答えが圧倒的となります。この意識と現実の違いはどこから来るのでしょう。身近な人が病院で亡くなる現実を目にして、自分はこんな最期は迎えたくないと思っているのではないでしょうか。病院は本来傷病を治すことが前提となった施設です。したがって医療行為が最優先されて、患者さんには様々な制限が強いられます。それは傷病を克服するためにはある程度しようがないかもしれません。ただ傷病の末期の人とその周りの人にとってはその環境は必ずしも理想的とは言えない状態です。だからと言って末期の人を自宅で看取る自信はないし、体制も整っていないというのが現状です。

 

 ホスピスという施設があります。主にがんの末期の人が入所し、病気に伴うさまざまな症状緩和を専門としています。ホスピスの多くは個室で面会時間の制限もなく、飲酒やペットも許される場合があり、より自宅に近い環境が目指されています。多くの患者さんは病院より安らかに最期を迎えられるようです。ただホスピスに入所できる人は限られていますし、本人も身内も入ることに抵抗があるのが現実です。

 

 尊厳死国は今、在宅医療の充実を目指しています。その延長線上に、最期を自宅で迎えられるように制度を整えつつあります。一昔前、たいてい人は自宅で最期を迎えていました。制度の充実はもちろん図られねばなりませんが、われわれの意識も大いに変えていく必要があります。安らかな最期を目指して、自宅、ホスピス、病院がそれぞれの役割を果たすためにどのように棲み分けていけばいいのかを考えなければならないと思われます。

 自分のそして身内の安らかで尊厳のある最期についてじっくりと考え、できれば周りの人と話し合うことが大事ではないでしょうか。

 

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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