マンモグラフィ読影指導者研修会-院長のひとりごと

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マンモグラフィ読影指導者研修会

 先日マンモグラフィ読影指導者研修会に行ってきました。これは通常の講習会とは違い、指導者を対象に年に1回行われる研修会です。ここでは最新のマンモグラフィ検診に関する話題が提供され、指導者間で討議されます。また講習会と全く同じ形式で読影テストが行われます。年に数回の割合でマンモグラフィ読影試験が行われますが、ずっと同じ問題というわけには行かず順次写真を差し替えていく必要があります。新しい問題の候補が適切かどうかを、この指導者研修会で試すわけです。ここで多くの指導者が、同様に判断する問題は次からの試験に採用されます。つまり読影者間で意見が分かれるような問題は除外されます。従って指導者研修会の試験はあくまでもトライアルで読影の評価には影響されません。とはいうものの試験と同様に採点はされるため、いい加減に受けるわけにはいかずかなり緊張します。正式の評価ではありませんが、今年も何とかA評価がとれてほっとしました。2012年6月号マンモグラフィ読影指導者研修会

 

 今回取り上げられた内容としては、デジタルマンモグラフィの普及にともないモニターによる読影が増えていることに対してどう対処するかということと超音波検査による乳がん検診の問題が大きな柱でした。現在のマンモグラフィ精度管理はレントゲンフィルムとしての撮影および読影を基本としています。今後モニター診断のための施設評価や撮影および読影試験の実施が必要となってきます。実際今年からモニター画像による施設評価が始まりました。デジタルマンモグラフィのための講習会が医師、技師を対象に始まっています。近い将来こちらが主流になってくるものと注目されます。

 

 今のところ基本的に国の進める乳がん検診に超音波検査は含まれていません。現在、超音波検診が乳がん死亡を減らす効果があるかどうかの臨床試験が全国的に実施されています。結果が数年後に出ますが、効果があると出た場合超音波検診の体制を敷かねばなりません。これは結果が出てから着手していたのでは間に合いません。良い結果が出ると信じてすでに各方面で準備が進められています。そうした内容の報告と討論が行われました。

 

 今回提示されたデータで私が一番驚いたのは、最新の日本人乳がん罹患数が年間6万人を上回ったというものです。つい数年前の数字では4万数千人だったため、講演会などでは“1年間に新たに乳がんにかった人を甲子園球場に集めると満員になります”と言っていましたが、今やとても入りきらないということになってしまいました。一方乳がんの死亡数も増え続けています。乳がんの診断、治療における進歩は著しいものがあります。しかし今のところ乳がん死亡を減らす決定打は検診が一番です。さらに乳がん検診を推し進めて乳がん死亡を減らす努力が必要と痛感しました。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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