医者が病気になったとき-院長のひとりごとコラム

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医者が病気になったとき

  医者も病気になります。先日、私は風邪をひきました。高熱は出ないし、食欲もあり、体が少しだるいくらいの症状です。 インフルエンザではなく、普通の風邪ですぐに治るものと高をくくっていました。ところが今回の症状の特徴はのどの痛みでした。体はそれほどしんどくないのに、のどがとにかく痛い。

医者が病気になったとき外来の仕事をしている身としては、声を発するたびに激痛に見舞われ正に苦行でした。これでは埒が明かないと、知り合いの耳鼻科の先生を受診しました。

先生は極細の内視鏡で私ののどを観察してくれました。アデノウィルスによる、普通の風邪です。漢方薬を出しておきますからのんでください。とのことでした。

他にも抗生物質やうがい薬、どうしても痛むときの頓服の痛み止めをいただいて帰りました。処方された漢方薬は、それはそれは苦くてのみにくいものでしたが言われたとおり内服しました。そうすると何ということでしょう。翌日にはうそのように痛みが消えていました。

お医者様って本当にありがたいと、心から感謝しました。

 

 私が医者になって後にかかった大きな病気としては、十二指腸潰瘍と尿路結石があります。 十二指腸潰瘍は大学で博士論文をまとめているときに、発症しました。ある日突然、空腹時にさすような上腹部痛に見舞われました。何かをお腹に入れると、うそのように治まります。 医学の教科書に出てくる典型的症状でした。それでも確定診断をつけないと、よく似た症状である胃潰瘍ならば胃癌の心配もしないといけません。その場合は胃カメラをのんで、病理の検査が必要になります。

当時の内視鏡は、それはそれは太くて私は自分ではとてもじゃないがのみ込む自信はありませんでした。先輩のバリウム造影の名人の先生にお願いをして、検査をしていただきました。 十二指腸潰瘍の診断がついたときには、内視鏡をのまなくて済むと大いに安堵しました。

 

 尿路結石の発作も突然やってきました。これも教科書どおり、明け方前の発症でした。 腰背部の激痛に目が覚め、痛みのために這ってトイレまで行って嘔吐しました。家内に以前勤めていた市民病院に電話をしてもらったところ、たまたまその日の当直が泌尿器科の先生であることを知って幸運を感じずにはいられませんでした。

なりふり構わず救急車を呼んで、病院に向かいました。レントゲンと尿検査で尿路結石の診断をつけていただき、痛むところに麻酔の注射を打っていただくと痛みは消え、すたすたと歩いて帰宅しました。

 

 医者が病気になったとき、診断はある程度自分でつきます。ところが自分に対して処置ができません。そこは専門の先生にお願いをして、治療をしていただきます。そんなときは本当にお医者様ってありがたいなあと思います。

私自身も医者の端くれとして、そんな風に患者さんに信頼されるようになりたいものだと改めて痛感しました。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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