マンモグラフィ読影医-院長のひとりごとコラム

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マンモグラフィ読影医

 前回は乳腺専門医について書きました。今回はマンモグラフィ読影医です。 この資格は国の認める正式な専門医ではありませんが、ある意味で一般的専門医よりもより厳密に審査が行われ運営されています。

マンモグラフィ読影医運営はNPO法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会(略して精中委)が行っています。この資格は非常に現実的で、実践的です。 マンモグラフィ読影医と認められるための基礎条件としては、医師であること以外は特にありません。 普通、専門医資格を取るためには当該学会に一定期間以上所属し一定の臨床経験と学術発表が必須条件です。その上で専門医試験が行われます。それに対して、マンモグラフィ読影医になるためには、最低限2日間の講習を受けた後試験に合格すればよいのです。

大学教授であろうがベテラン乳腺専門医であろうが、それまでマンモグラフィを1枚も見たことのない研修医であろうが条件は同じです。

逆に研修医であっても試験で良い点を取れば読影医として認められますが、大学教授であっても試験の点が悪ければ資格は与えられません。さらに資格維持も非常に厳密で、5年に1度試験を受け合格点を取らなければなりません。

 

 マンモグラフィ読影医の歴史はそれほど古くはなく、制度が整備されてまだ十数年ほどです。 私はたまたま初期のころから参加をさせていただいたおかげで、いろいろな経験をしました。 最初は発起人の先生方が手弁当で講習会を開き、読影試験を行われました。そこで優秀な成績を取った医師が次の講習会の講師となるわけです。

1回の講習会を受講できる医師数は限られていますので、次々と講習会を開くためには多くの成績優秀者を確保することが急務でした。そういうわけで私も講習会のお手伝いをさせていただきましたが、自分が講師で受講者が大学教授や大先輩の乳腺専門医であるという逆転現象もしばしばでした。たまたま早く資格を取っただけなので、冷や汗をかきながら講習をした覚えがあります。

 

 こうした地道な努力のおかげで今や1万人以上の医師が講習会を受講し、多くの認定読影医が誕生しました。精中委はマンモグラフィの読影医だけではなく、撮影技師に対しても講習会と試験を実施して認定技師を輩出しています。

さらにマンモグラフィ撮影機器についても基準を満たしているかどうかの認定を行っています。 このようにマンモグラフィ検診は認定撮影機器、撮影技師および読影医によって実施されることにより精度を保っています。後は一人でも多くの女性が乳がん検診を受けて、乳がん死亡が減る日が来ることを望むのみです。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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