現在50あまりの専門医が学会で制定され、国(厚生労働省)が認定しています。 専門医だから絶対というわけではありませんし、専門医でなくても立派な医師も多数おられます。ただ一般の人から見れば、専門医というのはひとつの目安になるのは確かでしょう。 今回は乳腺専門医について、どのように運営されているのかを説明させていただきます。
乳腺専門医は日本乳癌学会が制定しています。 乳腺領域は外科、内科、放射線科、産婦人科、病理検査科など多岐にわたっています。乳腺専門医を取得するためには、まずこの基本領域の専門医を取る必要があります。
私の場合は外科が専門ですから、まず外科の専門医を取得します。その次の段階としては、乳腺認定医をとらなければなりません。そしてその上に最終段階として乳腺専門医を取得します。
その認定方法は、まず学会に入会し、学会の定める症例を認定教育施設で経験し、学術集会に参加し、学会や論文での発表が必要用件としてあります。それらを書類として提出して書類選考の後、筆記あるいは面接の試験が行われます。それに合格して晴れて専門医を名乗れるのです。それぞれの認定を受けるために数年を要しますから、乳腺専門医にまでたどり着くのは結構ハードルが高いです。また基礎分野から専門領域まで広く深い経験と実績がないと取得できませんから、信頼性は高いといえるでしょう。
さらに専門医は一度取れば終わりではなく、一定年数ごとに更新が必要となります。
そのためにさらに症例を重ね、学会に出席し、学術集会や論文の発表が必要です。 学会は平日に日本各地で行われることが多いですから、出席するためにはクリニックを臨時休診しなければなりません。当院に通っていただいている皆様には大変ご迷惑をおかけしますが、そういう事情をお察しいただいてご勘弁のほどお願いします。 もちろん学会での発表や参加は、専門医維持のためだけに行っているわけではありません。 乳腺領域の日進月歩の進歩に対応するために、欠かせない活動であるといえます。 実際、学会で得られた新しい知見が日々の臨床に生かされることは多々あります。 こうした医療の特殊性があることをぜひご理解いただけるとありがたいです。
乳腺領域でもうひとつ専門的資格としてマンモグラフィ読影医というものがあります。これは専門医ではありませんが、ある意味では専門医以上に厳しい認定要件があり非常に信頼性の高い資格です。そのシステムも非常に特徴的です。
次回はそのことを詳しく説明させていただきたいと思います。乞うご期待を。
著者 院長・医学博士 先田功
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