緩和医療-院長のひとりごとコラム

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緩和医療

 緩和医療研修会に行ってきました。土曜の午後から日曜まる一日の講義と実習という非常にハードな研修会でした。私はかなり緩和医療には精通しているつもりでしたが、最新の緩和医療はとても進歩しておりしんどかったものの実りの多いものでした。

 

緩和医療

 現代の日本人は“死”というと忌み嫌うものとして、あまり表に出さないようにする傾向があるようです。人は必ず死にます。誰もこの事実から目を背けるわけにはいきません。

緩和医療とは主にがん患者に対して、その最期をできるだけ穏やかにしようとするものです。 

いまや日本人の半分はがんに罹り、3分の1ががんで命を落とすといわれています。それほど恐ろしい病気ではありますが、死期がある程度予測できるという特徴があります。

以前はがん患者の最期は耐え難い痛みにもがき苦しむというイメージがありました。

ところがそのがん性疼痛は完全とは言わないまでも、相当レベルまでコントロールできるようになりました。それだけでなく、がんに伴う倦怠感や食欲不振、抑うつ状態や呼吸困難など様々な症状が緩和できるようになってきています。そういった症状が緩和されると、がん患者はとても穏やかに最期を迎えることができます。それは患者だけでなく、家族をはじめ周りの人たちにもとても大事なことです。限りある命を目の当たりにすることによって、かえって有意義な生を送れるということもあるようです。

 

 それまで疎遠であった家族が、そのことをきっかけに深く結ばれるということも可能になります。そうした有意義な最期を迎えるためには、われわれ医療者が充分な緩和医療を提供することが大事ですが一方で皆さんが普段からそういう状況を想定して考え、周りの人たちと話し合っておくことが重要です。

 

 今多くの日本人は病院で最期を迎えています。一般病院で充分な緩和医療を提供することはスタッフや設備の問題がありなかなか難しいものがあります。理想的にはそれぞれのお家で最期を迎えられたら、それがベストでしょうがそれこそ緩和医療を充分に受けられない可能性が高くなります。

ベストではないけれどもベターな選択として、緩和ケア病院(ホスピス)があります。 ホスピスは緩和医療を専門とした病院でそのための設備とスタッフそしてシステムを備えています。ホスピスというと、どうしても死に行くところという暗いイメージを抱いてしまいます。 ホスピスを紹介しますというと何か見捨てられたように感じる方が多いようです。でも実際に紹介をして、入院をしていただくと患者さんご自身もご家族も非常に満足をされます。現段階では、がん患者が最期を迎える場所としてはベストかもしれません。

最後にもう一度繰り返します。人は必ず死にます。その時をどの様に迎えたいか、普段から考え、周りの人たちと話し合っておいてください。安らかな最期を迎えるために。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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