乳がんと食べ物(食事療法1)-院長のひとりごとコラム

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乳がんと食べ物(食事療法1)

 今年の虹の会の講演の題目として“乳がんと食べ物”というリクエストをいただきました。 そこで改めて調べてみると、非常に奥深いことが分かりました。その内容を今回から3回に分けてひとり言で発表したいと思います。

今回は一般的食事療法についてです。次回はがんの食事療法についてまとめてみたいと思います。そして3回目が乳がんと食べ物です。

 

乳がんと食べ物(食事療法1) 食べ物と病気とが密接な関係にあることは誰も否定しないと思います。脚気はビタミンB1不足によって発症します。

日本では江戸時代に将軍をはじめ富裕層が玄米から精米した白米を食すことにより広がったといわれています。 経験的にそばを食べると脚気が予防できることが分かり、江戸ではそばが大いにはやりました。

壊血病はビタミンC不足によっておこります。 近世ヨーロッパでは大航海時代に船乗りたちは長期間、新鮮な野菜や果物を食べられないために壊血病が大発生しました。当時の海戦では戦死者より壊血病死者のほうが多かったそうです。

イギリス海軍はいち早く柑橘系果物が壊血病を予防することをつきとめ、当時無敵であったスペイン海軍を破ったといわれています。このようにある栄養素が不足して起こる病気は、非常に分かりやすいです。

 

 現代はどうでしょうか?人々は何か栄養が足りないために病気になるというより、飽食が健康を蝕んでいるといえるのではないでしょうか。

3大死因のうち、脳卒中と心筋梗塞は動脈硬化が原因です。動脈硬化は高脂肪、高カロリーによって引き起こされます。そして日本で死因第1位のがんも高脂肪、高カロリー食がいけないことが明らかとなってきました。

つまり食事を改善することによって、これらの病気が予防できるということです。

 

 アメリカでは1970年代にマクガバン報告が発表されました。当時のアメリカでは医療費は世界一なのに、平均寿命は先進国の中でも低いほうでした。そこでフォード大統領は上院議員のマクガバンを指名して、世界の専門家を集めてその対策を立てました。

結論は“がんや心臓病などの増加は食生活の誤り”が原因であるというものでした。 対策として肉、卵、乳製品、砂糖などの摂取を控え穀物中心の食事にするように提案をしました。

このとき注目されたのが日本食です。

日本食はこの条件をぴったり満たしていたのです。それ以来、欧米では健康でおいしいということで日本食ブームが巻き起こりました。実際この勧告以来、アメリカでは心臓病やがんの死亡率が減少しました。それにひきかえ、本家である日本ではがんをはじめとする生活習慣病は増え続けています。

そこで国は一昨年よりメタボ検診を開始しました。これは動脈硬化を予防して、脳卒中や心臓病を減らそうというのが目的です。しかしこの生活習慣の改善はがんの予防にも効果的です。次回はその内容について詳しく述べたいと思います。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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