2009年の日本乳癌検診学会は11月5日6日に札幌で行われました。
北海道での開催にもかかわらずというか、北海道ということがあってか参加人数は多く非常に盛会でした。 例年医師だけでなく、看護師や技師の参加が多くまた女性の参加が多いのもこの学会の大きな特徴です。
主催は札幌の一私立病院である、札幌ことに乳腺クリニックでした。
全国規模のこれほど大きな学会総会を大学や基幹病院以外が主催するということは、この学会をおいて他にはあまりありません。
それというのは日本の乳がん検診は大学や基幹病院が中心になっているのではなく、多くの乳腺専門病院やクリニックが支えているという現状をあらわしているものと思われます。
メインテーマは“乳癌検診の新たなる展望”ということでした。
おりしも国の暫定予算で一定年齢の女性の乳がん検診無料クーポン券が配布されるという、画期的時期に重なった総会ということで注目が集まりました。
がん対策基本法が施行されて2年経つものの、検診受診率が低いためにいまだに日本人の乳がん死亡は減っていません。
検診専門医と意見交換をしましたが、受診数は増えてはいるものの想定したほどではないというのが現状でした。
今回の措置は2010年3月までの時限立法のため、その効果のほどはそれ以降の検討が待たれるといったところでしょうか。
一般の演題としては、各地で活躍する乳腺専門病院あるいはクリニックの検診への貢献についての発表に多くの時間があてられました。
また普及の進むデジタルマンモグラフィの取り扱いの問題や、長足の進歩を遂げる超音波診断装置の検診への導入の問題が論じられました。
ハードの進歩は著しいものがあります。
医療機関および行政の取り組みは充実してきています。
一般市民の関心も高まりつつあります。
日本でも欧米同様、近い将来乳がん死亡減少の知らせが聞けるのではないかとの期待を抱かせられた総会でした。
ところで学会参加のもうひとつのお楽しみ。
それは日本各地を訪れ、その良さを実感できることです。
今回の北海道ということであれば、豊かな海の幸山の幸が期待できます。
忙しくて普段会えない人たちと、こういう場で再会できるのも大きな楽しみです。
学会の後は舌鼓を打ちながら人々と旧交を温め会いました。
学会で知識得、英気を養ってまた明日からの診療に役立てていきたいものだと心新たにしました。
著者 院長・医学博士 先田功
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