具体的には術後何年したら、妊娠してもいいのかということが問題になります。
時に乳腺専門医の間で議論になることがありますが、これも正しい答えはないといえます。
年齢や病気の進行程度などを考えてケースバイケースで対処していくしかないでしょう。
あるいは乳がんの術後治療では、化学療法やホルモン療法など卵巣機能に影響を及ぼすものが多く含まれます。
将来妊娠を希望する女性に、これらの治療をどうするかという問題もあります。
基本的には将来の妊娠希望の有無にかかわらず、標準治療が行われるべきでしょう。
確かに不妊傾向にはなるでしょうが、100%不妊に陥るというわけでもありません。
さらにまだ一般的では有りませんが、卵巣や卵子の凍結保存が技術的には可能です。
標準治療の後、まずは自然に任せてやはり不妊の場合はそうした進歩した生殖医療の手を借りることも可能な時代になってきました。
考えてみれば女性のがんと妊娠の問題は、別に乳がんに限ったことでは有りません。
しかしほかのがんではあまり大きく問題にはされません。
それは乳がんにかかる女性の年齢が若いからです。20歳代、30歳代の乳がん患者さんは結構多いです。また最近の晩婚化、出産年齢の高齢化に伴い40歳代の乳がん患者さんにとっても妊娠との兼ね合いが大きく問題になることがあります。ここでもやはり早期発見、早期治療が大切になってきます。
妊娠中でも授乳中でも乳がん検診は可能です。
とにかく女性は定期的に乳がん検診を受けるということが大事です。
著者 院長・医学博士 先田功
〒662-0971
兵庫県西宮市和上町2-35 テルヴェ101