ついに日本でもCDK4/5阻害薬が発売になりました。
すでに欧米をはじめ世界70か国以上で使われていた薬がようやく日本でも投与できるようになりました。
対象はホルモン受容体陽性でHer2タンパク陰性の進行再発乳がんです。同種で違う薬剤も現在臨床試験中です。
ここ数年でホルモン受容体陽性の進行再発乳がん治療は非常に選択肢が増え、治療戦略が多岐にわたってきました。戦う武器が増えることは良いことですが、どのように使うことがベストなのかということに関してはまだまだ答えがないというのが現状です。
今は標準治療を書き換えるための過渡期であるといえます。
あるいは新たな考え方として、いったんマイルドな抗がん剤を試したうえで効果がなくなればまたホルモン受容体陽性対象薬に戻るという戦略も可能となってきました。
治療薬の選択肢が増えただけではなく、治療戦略の選択肢も増えたことになります。
そのためこの分野では現在多数の臨床試験が行われ、さらに新たな治験も計画されており非常にホットな分野であるといえます。今の時代に医療機関としては適切な標準治療を提案できることは当然の責務です。
また一方では、このように多種多様な臨床試験を踏まえ患者さん個人個人に適応がある場合には正しく臨床試験の提案ができることも大事な役割であるといえます。
多くの臨床試験の結果、一日も早くベストな方法が開発され乳がん治療成績が進むことを願ってやみません。
著者 院長・医学博士 先田功
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