乳がん新薬の登場-院長のひとりごと

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乳がん新薬登場

 乳がん新薬登場イラストついに日本でもCDK4/5阻害薬が発売になりました。

すでに欧米をはじめ世界70か国以上で使われていた薬がようやく日本でも投与できるようになりました。

対象はホルモン受容体陽性でHer2タンパク陰性の進行再発乳がんです。同種で違う薬剤も現在臨床試験中です。

ここ数年でホルモン受容体陽性の進行再発乳がん治療は非常に選択肢が増え、治療戦略が多岐にわたってきました。戦う武器が増えることは良いことですが、どのように使うことがベストなのかということに関してはまだまだ答えがないというのが現状です。

今は標準治療を書き換えるための過渡期であるといえます。

 

 ホルモン受容体陽性乳がんは乳がん全体の6-7割を占め、もともと比較的おとなしい乳がんです。

さらに手術後にいわゆるホルモン剤を使用すると治療成績は非常に良好です。それでも再発してくる場合や進行がんで発見されることはあります。その場合は従来のホルモン治療を組み合わせて対処することが一般的でした。治療にもかかわらず病気が進行したときには抗がん剤治療に移ることが推奨されていました。

ところがここ数年でホルモン受容体陽性乳がん治療薬が次々と開発され、新たにCDK4/6阻害剤が加わり抗がん剤治療への移行を遅らせることができるようになってきました。

あるいは新たな考え方として、いったんマイルドな抗がん剤を試したうえで効果がなくなればまたホルモン受容体陽性対象薬に戻るという戦略も可能となってきました。

治療薬の選択肢が増えただけではなく、治療戦略の選択肢も増えたことになります。

 

 ホルモン受容体陽性乳がんに対してどの薬をどのタイミングでどのように使うかということが問われています。医学的にその答えを出せるのは臨床試験しかありません。

そのためこの分野では現在多数の臨床試験が行われ、さらに新たな治験も計画されており非常にホットな分野であるといえます。今の時代に医療機関としては適切な標準治療を提案できることは当然の責務です。

また一方では、このように多種多様な臨床試験を踏まえ患者さん個人個人に適応がある場合には正しく臨床試験の提案ができることも大事な役割であるといえます。

多くの臨床試験の結果、一日も早くベストな方法が開発され乳がん治療成績が進むことを願ってやみません。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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