第25回日本乳癌学会学術総会が2017年7月13日から15日まで福岡で開催されました。
今年も大変多くの参加者でにぎわっていました。今回は以前にもましてインターネット環境が整備されました。
ポスター発表は事前にネットで登録をすれば当日は自動でプリントアウトがなされ添付までしてくれます。
参加、抄録集、ランチョンセミナーもすべてwebで予約が完了します。さらに会期中は自分のスマホやタブレットに発表の模様がライブ配信されるため、会場に入らずに内容が確認でき、他会場の発表もいながらにチェックが可能です。
機器展示コーナーは最新の機器に黒山の人だかりができていました。
今回私が一番感心したのは世界のエキスパートをパネラーにして行われた症例検討ディスカッションでした。
治療方針を決めるのに難しい再発乳がん症例が提示され著名エキスパートの意見交換がなされました。
治療法の選択に際して会場の意見とパネラーの意見がネット環境でボーディングが行われます。欧米ではすでに臨床使用されているCDK4/6阻害剤の使い方についてエキスパート間でも意見の相違がみられました。
会場はそれが承認されたものと仮定をして投票します。そうすると頭で考える適応と実地での応用で明らかな差異がみられ大変勉強になりました。
アグレッシブなアメリカ医師と保守的なヨーロッパ医師というステレオタイプを抱いていた自分としては、当たり前のことながら個々の医師により立ち位置が異なることが確認できたことは興味深い収穫でした。
新薬の価格が非常に高いことに対して、経済性も考えて治療選択するべきという意見と純粋医学的に考えるべきという考えが真っ向から対立していました。まだまだ答えのない選択が山積みであることが再確認されました。
ところで今回の学会は偶然に博多祇園山笠と日程が重なりました。
街角には豪華な飾り山笠がたてられています。最終日の15日は早朝5時から一番のクライマックスである追い山笠が行われました。博多は前日から大盛り上がりで私も早起きをして見物に行ってきました。噂通りの大迫力で本当にいい経験ができました。
福岡のおいしいものもいただき英気を養わせていただきました。
最新の知見をもとに明日からの診療に役立てたいと決意を新たにしました。
著者 院長・医学博士 先田功
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