乳がんドラマ-院長のひとりごと

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乳がんドラマ

 時々乳がんをテーマとした物語がテレビや映画で放映されます。日本でも乳がんの数が増え、身近な病気になりつつあります。比較的若い女性が罹り、結婚・妊娠・出産とかかわってくると様々なドラマが展開されます。多くは実話をベースにされているので、より共感と感動を呼びます。こうしたメディアの影響は大変大きなものがあります。乳がんをより身近に感じていただくという面では良いことだと思いますが、往々にして暗い結末のものが多く必要以上に不安をあおるのではないかと心配もされます。

 

 院長のひとりごと 2014年10月号 乳がんドラマ20代の乳がんはそれほど多くはありませんが、この年代で発病すると恋愛や結婚に大きく影響してしまいます。30代40代になると乳がんり患数は大きく増加します。この時期になると妊娠、出産が絡んできます。治療上、一番問題になるのは妊娠時に乳がんが発見された場合です。妊娠早期の場合は妊娠継続が可能かどうかの問題となります。妊娠時には通常の乳がん治療が困難となります。治療をとるか妊娠継続をとるかの究極の選択に迫られる場合もあります。妊娠安定期になるとかなりの乳がん治療が可能となります。妊娠後期の場合は早期出産が必要になる場合があります。いずれにせよ通常治療以上の判断が必要となります。このような時期の乳がん治療にガイドラインなどはなくケースバイケースに対応していかなければなりません。つまり絶対の正解はないということになります。患者さんと家族および医療者がよく相談をしたうえで個々に正解を探る以外手立てはありません。

 

 若年乳がんの場合、治療後の妊娠をどうするかという問題もあります。最近は乳がんの術後に放射線や抗がん剤、ホルモン治療が入ることが多くなっています。妊娠希望があるときにこれらの治療をどうするのか考えなければなりません。純粋医学的にガイドラインに沿った治療を行うと妊娠の時期や可能性を逸する可能性があります。この際も乳がんの程度や性質を考慮したうえで妊娠希望をどの程度尊重するかによってさまざまに対応が分かれてしまいます。

 

 乳がんと結婚・妊娠・出産は考えるべき永遠のテーマであると思われます。当事者が真剣に悩んで最善の判断を下すことが大事だと思われます。その答えは決して一つではありません。放映される乳がんドラマを機会にいろいろ考えていただけると幸いです。こんな難しいテーマにも誰もが納得する解決策を医療側から提案できる日が来ることを願ってやみません。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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