第21回日本乳癌学会-院長のひとりごと

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第21回日本乳癌学会

 第21回乳癌学会総会が6月末に浜松でありました。 今回の学会は、会長の意向で形式が大幅に変更になりました。一番大きな変更点は発表が大きく3本の柱(治療、検診・診断、看護・症状ケア)に分けられたことです。これにより会員はいくつもの会場をあっちへこっちへと移動する必要がなくなりました。ひとところでじっくりと問題に取り組めるようになりました。これに伴い演題の採択方法も一新されました。多くのテーマに沿って、それぞれに採択するのではなく全演題をまず口演、ポスター討議、ポスターに分類します。口演に選ばれた厳選発表のみが3本柱で発表されます。ポスター討議はポスターで期間中展示がされ、時間を区切って講演会場で討議がされます。ポスターは展示場所で質疑応答がされます。ITの活用もより活発となりました。従来の電話帳のような演題集は廃止され、各会場に無線LAN環境が整えられました。これによりWiFi機能を持った端末で検索が可能になりました。良いことづくめの改革のようですが、新しいことに戸惑いは隠せず今回の試みを検証し次回の総会にどう生かされるかが注目されます。

 

 口演の内容で私が一番注目したのは、検診の利益と不利益のセッションでした。乳がん検診が乳がん死亡を低下させることは多くの臨床試験が実証しています。しかし検診の不利益に着目すると本当に検診は良いのかという議論が出てきます。検診ではがんでもないのに多くの受診者が要精密検査となり肉体的、精神的苦痛を受ける事があります。これも乳がんの早期発見、早期治療のためには仕方がないといわれてきました。ところが検診により早期乳がんが多く発見される割には進行がんがそれほど減らないというデータが示されました。これは見つけなくてもいい乳がんを見つけているのではないかという疑問を提示しています。その解釈につきそれでも検診は必要という立場と、だから検診は不要という立場と、中間的立場の代表者による議論が展開されました。結論は出ませんが、今後も議論が必要な課題だと思われました。2013年9月号 第21回日本乳癌学会

 

 さて学会のもうひとつのお楽しみ。浜松といえばなんといっても鰻でしょう。昨今、鰻の高騰が話題になっていますが、決して安くはありませんが関西で食べるよりは割安でおいしくいただけました。浜松は地理的に関東風、関西風両方の鰻が食べられます。もちろん両方食べ比べました。結論は両方ともおいしかったということになります。力をつけて明日からの診療の糧とさせていただきました。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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