平穏死について-院長のひとりごと

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平穏死について

 人は必ず死にます。これはほぼ間違いのない事実と言って差し支えないでしょう。その時に備えて、死について考えておくことは大事と思われます。

 ある人はピンピンコロリが良いと言います。ピンピンコロリとは死ぬ瞬間まではピンピンしていて、突然コロリと死ぬことだそうです。つまり生きている間は元気で、苦しむことなく死にたいということのようです。なかなか良いように思われますが、残された周りの人々にとってはつらい死に方かもしれません。また本人にとっても、本当にそれで良いのかわかりません。そこで死ぬとわかっていれば、もっとやりたかったことがあったかもしれません。

 

 ある人は死ぬならがんが良いと言います。実際日本人の多くはがんで命を落としています。がんは一般的には突然命を落とすことはありません。がんといっても今では不治の病ではありません。がんだから必ず死ぬとは限りません。とはいうものの、今の医学ではすべてのがんを根治することはできないのも事実です。人それぞれですが、闘病生活の末命を落とす場合も少なくありません。ただ、ある程度死期を予想できるということがあります。余命1年とか半年とか言われるのががん死の特徴かもしれません。そんな死の宣告を受けるなんて、とても残酷な気もしますがその間にいろいろ準備ができるということでがん死が良いと考える人がいます。医学の進歩のおかげで、がんの末期でも昔のように痛みや様々なことで苦しむことがないようにできるようになってきました。苦しむことがないなら、じっくり死と向き合うのも悪くないかもしれません。

 

 院長のひとりごと最近平穏死ということが言われ始めました。いわゆる自然死あるいは老衰による死をさしています。昔は多くの日本人が老衰で亡くなりました。ところが最近は老衰死が減っています。これは老衰自体が減ったわけではなく、ほとんどの人が病院で亡くなるため老衰以外の病名がついているからのようです。現代は往々にして死ぬ間際に過剰ともいえる医療が施されます。もちろんこのことにより寿命は長くなるかもしれませんが、それが本当に本人にとって良いことなのかどうかが問われなおされています。人はいずれ死ぬということを踏まえ、その時に備えて本人も周りの人も普段からよく話し合っておく必要があります。

 死期にあたり、無駄な延命処置は受けない。人として尊厳をもった死に方をしたい。私はそう考え、家族とも常々話し合っています。死をタブー視せず、皆さんも一度じっくりと考え周りの人と相談をしてください。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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