乳がん検診無料クーポン券-院長のひとりごとコラム

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乳がん検診無料クーポン券

 平成21年度補正予算にて、乳がん検診の無料クーポン券が配られることが決まりました。

対象は40歳45歳50歳55歳60歳(平成20年度における年齢)の女性です。

われわれ乳腺専門医の最終目標は乳がん死亡を減らすことです。

欧米では乳がん罹患は上昇しているのに乳がん死亡は減少しています。それにひきかえ日本では罹患、死亡ともに上昇しています。

その一番大きな原因は乳がん検診の普及にあるものと思われます。

つまり欧米では乳がん検診の受診率が7割以上と高いのに対して、日本では1割から2割に過ぎません。乳がん検診無料クーポン券

欧米の乳がん検診はたいてい無料です。

それに対して日本では自治体の補助はあるものの有料です。

それが大きな足かせになっているのではないかと常々思っていました。

今回の措置は期限付きであること、すべての乳がん検診対象者でない点など問題はあるものの、とにかく無料であるということは画期的であると思います。

これをきっかけに乳がん検診がさらに広まり、定着していけば日本の乳がん死も減少に転じさせることができるのではないかと期待しています。

 

ところでその実施に当たっては非常に大きな問題があります。

というのはこれを機に受診者が大幅に増えた場合、検診実施機関はそれを受け入れられないということです。

たとえば人口約40万人の西宮市の場合、40歳以上女性の乳がん検診対象者は8万人あまりです。それに対して昨年度の市検診受診者は3000人あまりでした。今回無料クーポン券配布対象者は17000人余りです。その半分の8000人が受診を希望しても、従来の検診受け入れの許容量をはるかに超えています。

しかも有効期限は今年度末、つまり平成22年の3月までです。これは西宮市に限ったことではなく、多くの自治体が同様の状態です。

さらに国の方針として、このクーポン券は全国どこでも使えるというのが原則です。実施に当たっては現場の混乱は必至です。

西宮市ではこの状況に対応すべく、対策を立てつつあります。数をこなすために質を落とすわけにはいきません。基本的に従来の検診のスタイルを維持しつつ、受け入れ人数を増やす対策をたてる必要があります。

検診センターおよび委託医療機関における受診受け入れ数の拡大が必要です。

マンモグラフィ撮影の技師および読影医師の確保も必要です。

場合によっては従来の曜日、時間設定外の受け入れも考慮しなければならないでしょう。

 

問題解決は簡単ではありませんが、もうすでにさいはふられました。

現場は何とかできるよう努力します。

受診に際しては、多少の混乱は予想されます

それでもこれを機にぜひ乳がん検診を受診してください

そして何とか日本の乳がん死減少を実現させたいものです。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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