乳腺診療の間に出てくる、これらの数字の意味を正確に答えることができる人はどれくらいいるでしょうか?
医師でも乳腺専門でなければ、咄嗟にはなかなか正確に答えられないと思います。
まして一般人である患者さんにとって、これらの数字を完璧に理解することは至難の技でしょう。しかし患者さんは、これらの数字に一喜一憂してしまいます。
時には大きく誤解をして、一人で悩んでしまうようなこともあるようです。
自分に当てはまるこれらの数字について十分に理解することが大事で、不明な点があれば納得するまで医師に確認することが必要です。
乳腺診療においては様々の数字が出てきます。
簡単に説明してみましょう。
まず初診の段階で乳腺超音波検査およびマンモグラフィ検査が行われます。
この診断の際にカテゴリー分類ということがなされます。
これは1から5まであります。
1は異常なし、2は良性、3は良性しかし悪性も完全には否定できない、4は悪性疑いそして5は悪性です。
1と2は問題ありません。また5も疑問の余地はあまりありません。
問題は3と4です。
検診で3となると要精密検査になります。
その結果を受け取った検診受診者は、自分は乳がんではないかと大いに悩んでしまいます。
しかしカテゴリー3は基本的には良性なのです。
乳がんの見落としがあってはならないので、少しでも疑わしいものは念のため調べましょうという意味合いです。
ほとんどの方は異常無しです。
また万一ここから乳がんが見つかっても、早期の場合が大部分です。
ある意味ではその段階で見つかってラッキーと考えられなくもありません。
またカテゴリー4でも悪性の割合は半分くらいです。
それでも3に比べると悪性の可能性が高くなりますので、急ぎ精密検査が必要です。
次に超音波あるいはマンモグラフィで異常なしこりや石灰化などが見つかったときには、細胞診という検査をします。
これは病変部に針を刺して、その部分の細胞をとって顕微鏡で調べる検査です。
その結果がクラス1から5までの数字で示されます。
現在はこの数字はあまり使われていません。
1と2は陰性と表現し、悪性細胞はありません。
5は陽性で悪性です。
3と4は良性とも悪性ともいえない灰色で疑陽性といい、確定診断のためさらに検査が必要となります。
最後にステージとは乳がんの進行程度のことです。
これはしこりの大きさとリンパ節転移あるいは臓器転移の程度によって0から4までに分類されます。数字が大きくなるほど進行程度が増します。
この数字と先のカテゴリー分類あるいはクラス分類の数字ではその意味合いが大きく異なります。カテゴリーやクラスの4や5をステージと勘違いして悩む患者さんが時々おられます。
カテゴリーやクラスはあくまでも診断の目安で、4や5であっても悪性で無い場合もありますし、悪性であってもその進行度は0から4まで様々です。
とにかく不明な点があれば、遠慮することなく医師に確認を取り十分理解、納得することが大切です。
著者 院長・医学博士 先田功
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