第22回日本乳癌学会-院長のひとりごと

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第22回日本乳癌学会

 超大型台風接近の中、第22回日本乳癌学会が大阪で開催されました。幸い台風は進路をずらし5700人の参加者で学会は大盛況でした。いつもながら医師はもちろん看護師、技師、薬剤師と女性の参加者が多いのが乳癌学会の特徴です。患者さんやその家族の方の参加も見受けられグローバルな学会になったものだとの印象を受けました。会場は大阪国際会議場一か所にまとめられ、集中しての参加しやすい学会でした。

 

 近年乳がん関連の新薬がどんどん承認される中、どの薬を、どのタイミングで、どのような患者さんに使うのか、さらにその効果と副作用、その注意点に大きな関心が寄せられています。そのような疑問に各分野のエキスパートが答えてくれます。

 院長のひとりごと 2014年8月号 第22回日本乳癌学会私が今回注目したセッションは最新の診療スタイルの分野です。昔は医師が頂点で看護師や技師、薬剤師が医師の指示に従って患者を治療するという形態でした。それが反省されチーム医療という概念で医療スタッフが対等に連携を取って治療にあたることが大事とされてきました。しかし最近ではそういうスタイルでは医療スタッフ間で患者の情報が共有されていても患者さんはその輪の中心でむしろ孤立しているのではないかと考えられるようになってきました。そこで最新の治療スタンスは患者さんもチーム医療の中に参加をして一緒に治療を支えていくというスタイルです。なかなか実臨床では気づかないことに感心しました。学問的なことばかりでなく、実際的な面でもいろいろ教えられることがあるのも学会のいいところです。

 

 J-STARTをはじめ日本発の治験の報告もあり、検診の実態の話もあり、診療技術、機器の進歩の講演もあり、各種ガイドライン改訂の説明などこれからの乳がん診療を占う良い場ともなっていました。発表は医師に限らず看護師、技師、薬剤師も積極的で、ここでも女性の比率が高く若い人たちも堂々としていて強いパワーを感じました。この分野の将来は頼もしいなあという思いを持つと同時に、自分も負けないように頑張らねばならないと決意を新たにしました。

 学会が大阪で開催されると家から通えるというメリットがありますが、日本各地を巡るという学会のもう一つの楽しみがなかったというのは少し残念でした。来年は東京の開催となります。振り返ってみると東京もしばらくご無沙汰なので今から少し楽しみです。それはともかく最新の知見をもとに明日からの診療に応用できるようさらなる研鑚に努めたいものです。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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