乳がんのオーダーメイド治療-院長のひとりごと

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乳がんのオーダーメイド治療

 乳がん検診の利益と不利益服にオーダーメイドとレディーメイドがあるように、これからは乳がん治療のオーダーメイド化が進んでいくと思われます。以前にもこのテーマで文章を書きましたが、遺伝子解析の格段の進歩によりさらにそのことが現実味を帯びてきました。

 20世紀終わりころに世界の多くの科学者によって、13年間で3千億円もの巨費を投じてヒトの全ゲノム(遺伝子情報)が解明されました。21世紀になり、2007年には一人の全遺伝子情報が2か月、約1億2千万円で解析可能となりました。今では一日、50万~100万円で遺伝子情報を調べることができるようになりました。

 

 がんは遺伝子の病気です。遺伝子に何らかの傷がつき正常細胞ががん化します。同じ乳がんといっても一人一人の遺伝子の傷のつき方はすべて違います。それによって病気の性質や治療への感受性、副作用の出かたが違ってきます。今後はどの遺伝子にどのような異常があると病気の経過や治療の効果がどうなるのかということが調べられるようになります。それに対応する形で、乳がん患者さん一人一人に個別の治療法が選択されるようになるでしょう。今はその発展途上の段階にあるといえます。いくつかの代表的な遺伝子の異常の特徴に応じた、乳がんの分類がなされ、治療法が選択されています。今後さらにその分類が細分化し、治療選択もより効率的になっていくものと期待されます。日々データが集積されつつあり、それを正しく解釈し、実臨床の場に応用していかなければなりません。国内外で開かれる学術集会において、データが発表され、議論がなされ、医療者すべてに周知される必要があります。まさに学会や論文発表から目を離せないというのが現状です。  

 

 乳がんをはじめがんは将来撲滅されるのか?予防、診断、治療の各方面において医学は格段の進歩を遂げています。遠い先にわずかではあるものの確実に光が見えているように思われます。それははるかかなたのように見えて、しかし振り返ると随分道のりは進んできており、さらに加速しています。その日を信じて、日々の努力を惜しまず、画期的ブレイクスルーを待ちわびながら日常臨床を行っています。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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