過酷乳房超音波講習会-院長のひとりごと

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過酷乳房超音波講習会

  JABTS(日本乳腺甲状腺超音波医学会)という組織があります。先日、そのJABTSが主催する乳房超音波講習会に参加してきました。読んで字のごとく、乳房超音波に特化した講習会です。週末の土日を完全に缶詰め状態で全体講義とグループ講習が行われ、最後に試験があります。それはそれは過酷な2日間でした。院長のひとりごと2013年2月号

 

 現在日本では世界に先駆けて、乳房超音波検診が乳がん死亡を減少できるかどうかの臨床試験が行われています。すでに数万人規模のエントリーが終了しデータが着々と出てきています。もう2-3年で結果が出る予定ですが、有効な結果が出てくるものと予測されています。そうなると日本はもちろん、世界にも超音波検診が推進される可能性があります。その時に備えて、乳房超音波検診に関与できる医師、技師を養成する必要があります。さらに超音波検診にかかわるガイドラインの作成が急務です。その一環としての講習会でした。

 

 最近の超音波機器の進歩は著しく、今まで超音波では見えなかったものが見えるようになり、血流や硬さなど今までにはない新しい情報も知ることができるようになってきました。それに伴い乳房超音波診断は長足の進歩を遂げています。その新しい概念に対して、ガイドラインを設けることにより乳房超音波検査に携わるすべての人々が共通の認識で診断を下す必要があります。今講習会ではまず全体講義でその理論的裏付けを知り、少人数に分かれてのグループ講習で実際の画像を見ながら実践的理解が深められました。超音波検査で特徴的なことは、マンモグラフィのような静止画像で診断するのではなく超音波プローブを操作しながらリアルタイムの動画で病変を見つけるという点です。現在検診の主流であるマンモグラフィとはそれぞれ一長一短があります。超音波検査では乳腺のしこりの描出についてはマンモグラフィより優れています。より小さな腫瘤の発見ができるようになり、その質的診断まで可能となります。従来苦手とされていた石灰化病変の描出も随分と向上してきました。

 院長のひとりごと2013年2月号2日間みっちりと理論を叩き込まれ、薄暗い部屋で液晶画面に見入りながら静止画および動画の診断の実際を学びました。目も頭も体もくたくたになったところで最後に試験が行われました。何とかA判定を取得し、心は少し軽くなって帰路につきました。

 日本では乳がんがまだまだ増えています。それに伴い乳がん死亡も右肩上がりが収まりません。超音波検診がそれを防ぐ一つの有効な手段となることを心から願います。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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