第20回日本乳癌学会-院長のひとりごと

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第20回日本乳癌学会

 第20回乳癌学会総会が熊本でありました。

熊本は今、九州新幹線が全線開通し、熊本市が政令指定都市になり、道州制が導入された暁には州都を目指すと勢いづいています。乳癌学会も20回の節目を迎え、海外から多数の先生を招聘し、韓国、中国と共同セッションを開催するなど盛大にとりおこなわれました。

 

2012年8月号第20回日本乳癌学会

 昨今のグローバル化やIT化の波を受け、今学会では発表も質疑応答もすべて英語のセッションが開かれ、オンライン上で発表されるeポスターが取り入れられるなど新たな取り組みがなされました。来年は浜松での開催が決定されましたが、主催者は更なる学会の変革を予定しているとのことでした。さらに再来年は大阪での実施が決まりました。学会の潮流が大きく変わる中での開催に期待が高まります。

 

 現在、乳がん診療は大きな変革期にあります。がんは遺伝子の変異によって引き起こされることが明らかとなってはや30年以上が過ぎました。当初、原因がわかれば対策がたてられると20世紀中にはがんは撲滅されるだろうと予想されました。しかし実際は、その遺伝子変異は非常に多岐にわたり一筋縄ではいかないことが明らかとなるばかりでした。ところが最近はバイオテクノロジーの格段の進歩により、その多様性が確実に解明されつつあります。乳がんにおいては数ある遺伝子変異から、特徴的ないくつかのグループわけがなされるようになってきました。これによってそれぞれの患者さんの予後が予測できるばかりでなく、さまざまな治療の予測が可能になってきました。さらに薬に対する耐性や副作用の予測も可能になる日が近いと思われます。これらの知識、技術が集積されれば患者さん個人個人にあった、無駄のない最適な治療法が選択可能となります。この5年で乳がん治療の考え方が大きく変化しました。そして今後の5年或いは10年後にはさらに大きな変化が見込まれます。最新の知見を元に、世界の英知を集結して目の前の診療に取り組んでいかねばならないと痛感させられました。

 

 さて学会のもうひとつのお楽しみ。熊本といえば馬肉にからし蓮根、天草の新鮮な魚介と選ぶに事欠きません。熊本は阿蘇の湧き水に恵まれ、市の水はすべて地下水でまかなわれており、とてもおいしいです。頭にいっぱい知識を詰め込んで、おなかもいっぱいおいしいものを詰め込んだ学会でした。

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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