第21回日本乳癌検診学会 -院長のひとりごとコラム

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第21回日本乳癌検診学会

 第21回日本乳癌検診学会

 10月21日から22日まで岡山で第21回日本乳癌検診学会が開かれました。国の無料クーポン券の配布も3年目を迎え、マンモグラフィ検診はかなり定着してきました。宮城県や茨城県など乳がん検診先進地域では、その成果も出つつあります。昨年アメリカで40代の乳がん検診に対して否定的な見解が出されました。しかし詳細に検討を行うと、40代のマンモグラフィ検診の有用性は十分肯定されています。それに対して様々な弊害があることが大きく報じられたというのが実情であることが明らかとなりました。日本においてはその弊害はアメリカに比べて小さいこと、および40代乳がんの発生頻度が高いことより、日本では引き続き40代の乳がん検診が勧められることが確認されました。実はアメリカでも先の報告を検証し、弊害をより小さくする努力の上で依然40代もマンモグラフィ検診が行われている実情が報告されました。

 

 

 今回私が注目したのはなんといっても超音波検診です。日本が世界に先駆けてスタートさせている乳がん超音波検診の臨床試験も順調に進み、2-3年後には1次報告が予定されています。超音波検診おそらく良好な結果が出るものと予測されています。そうなると早急な超音波検診の体制を整える必要があります。そのための人的、物的基盤はまだまだ不十分であるといわざるを得ません。乳腺診療において、超音波検査は非常に重要な位置を占めていますが検診における位置づけは全くの未知数です。超音波を検診に導入するためのハードとソフトの基準すらまだまだ明確ではありません。様々な問題が山積している上に、期限も迫っています。関係各位の早急な対応が急務であると確認されました。

 

 もうひとつのポイントは乳腺診療におけるデジタル化の流れです。いまや医療における画像診断はほぼデジタル化されています。乳腺領域でも超音波検査はほぼフルデジタルの時代となっています。マンモグラフィだけが、その特性ゆえにデジタル化が遅れていました。しかし時代の趨勢に逆らうことはできず、今ではマンモグラフィもデジタルが主流となっています。それによる弊害が指摘され、それを克服するための方策が議論されました。もちろんマンモグラフィのデジタル化は悪いことばかりではなく、データの管理、共有という点において非常に期待できる点が多々あることが確認されました。

 

 最後に学会のお楽しみ。岡山といえばフルーツにきび団子、ままかりくらいしか認識がありませんでしたが名物の豪華ちらし寿司を頂きました。江戸時代、城下に倹約令が出されて食事は1汁1菜と決められました。そこで庶民は1皿に海の幸山の幸をすべて盛り込んで豪華ちらし寿司を作ったのがいわれとか。初めていただきましたがとてもおいしかったです。

 

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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