サンアントニオ乳癌学会-院長のひとりごとコラム

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サンアントニオ乳癌学会

 毎年12月にアメリカ、テキサス州サンアントニオで乳癌学会が開かれます。ここでは世界中の乳腺専門医が集まり、最新の知見が発表されます。そこで活発な討議が行われ、世界の乳がん治療の趨勢が決まります。

サンアントニオ乳癌学会今回一番注目されたのは、乳がん術後ホルモン療法です。乳がんに対するホルモン剤としては、閉経前後にかかわらず使用される選択的エストロゲン阻害剤閉経後乳がんに使用されるアロマターゼ阻害剤があります。そのアロマターゼ阻害剤の使用法につき、新たな大規模臨床試験の結果が発表されました。
今までの様々な臨床試験の結果、閉経後の患者さんにはアロマターゼ阻害剤のほうが優れていそうだということと、選択的エストロゲン阻害剤をまず使用していた人に途中からアロマターゼ阻害剤を使用すると効果がよくなること、そして選択的エストロゲン阻害剤を5年間使用した患者さんがさらにアロマターゼ阻害剤を使用すると成績がよくなることが明らかになっていました。
今回の新しい結果により、閉経後の方には本当にアロマターゼ阻害剤のほうが良いということと、アロマターゼ阻害剤と選択的エストロゲン阻害剤どちらを先に使うべきかということに対してほぼ結論が出されました。

そのほかの話題としては、乳がんの骨転移に対して使用されるビスフォスフォネート製剤があります。この薬は骨転移を抑制し痛みを和らげる効果があることが知られていましたが、どうもほかの部位の転移も抑える力があるのではないかという報告がされました。さらに分子標的薬という、新しい概念の薬が次々と開発され実臨床に応用されようとしています。
乳がん治療の選択肢がどんどん増えるものと期待されます。また乳がんの遺伝子解析により、その性格をより正確に診断することにより、いわゆるオーダーメード治療の可能性が開けています。

私も大学時代に一度サンアントニオに行きましたが、砂漠の中のそれほど大きくない街で特に遊ぶところも無く学会に専念した覚えがあります。今やインターネットで最新情報を知ることができます。現地に出席した日本人の報告会も頻繁に行われ、学会の概略を知ることはそれほど難しくありません。それでも生の印象は全く違ったものがあります。また機会を作って参加したいものです。

 

著者 院長・医学博士 先田功

乳がん検診・乳腺外科
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